結:大団円




最後の『ノイズ』密集地帯を抜ける。
目の前に広がったのは・・・

「・・!・・・これは・・!!」
私にはよく分からないが何かの機械。
地面に根を張り、吸い上げたり、送り込んだり、
それに伴って微妙に色が変化している。
『ノイズ』はその根元から断続的に発生している。

「これは・・・地流調整装置!」
遅れて駆けつけた彼女が目を見張る。
「去年、我々が・・・作ったものです・・・」
下を向き震える声でそう言う。
「安定させるはずの装置が・・・逆に乱していたとは・・・」
悲痛な表情、部外者の私にはかける言葉が無かった。

結局、『ノイズ』の発生は妖精たちの装置が原因だった。
乱れ気味の世界を安定させる為の行為が逆に調和を乱していたのだ。

処理は速やかに行われ、世界は正常に戻ったが・・・
この事実が妖精達に与えた波紋は大きい様だった。
特に彼女はひどく落ち込んでいた。

私(人間)に対する悪感情は消えてはいないのだろうが、
大半は謝罪の感情を示してくれた。

しかしそれはもういいのだ。
数年前の事は事実なのだろうし、そういう気持ちは当然のことだ。

一方で、私を元に戻すための作業は順調に進んでいた。
彼女が率先して進めてくれていた。
そしてそのための装置は1時間も経たないうちに完成したのだった。

別れの時間が訪れる。
後始末に忙しい最中、
装置の置かれた広場の隅に手の空いた妖精達が集まる。

「今回は多くのことを学びました」
神妙に彼女は告げる。
「自然の流れを操作しようとしたのは間違いでしたね」
「・・・気を落とさないでください」
世界の違う私にはかろうじてそれだけしか言えない。
「ありがとう。また始めからやり直さなくてはいけません」
そう言って彼女は笑った。

「そうだ、名前を・・・聞いていませんでした」
「久保・・真紀です」
「わたしはユニキスといいます」

あまり時間が無い。
徐々に日が高くなっていく。

「では、マキさん、元気で暮らしてください」
「ユニキスさんも元気で」

後ろからつつかれる。
振り返るとマルタンが潤んだ瞳で見上げている。
「またね、マルタン」
頭を撫でると目を細めて擦り寄ってくる。

装置に近づきスイッチを手に取る。
もう一度周りを見渡す。

いつも一生懸命に皆のことを考えているユニキスさん
臆病だけどとても気の優しいマルタン
不安に耐え頑張った他の妖精達・・・

決意を固めてスイッチを入れる。
白い光に包まれる。
ふわっとした感覚に身を任せ・・・

気付いたときには妖精の世界は既に無い。
目の前には見慣れた通学路が広がっているだけだ。

道端の草むらに歩み寄りそうになって立ち止まる。
「・・・・・」
少しの間、たたずむ。
(また・・・逢えるよね・・・)
ため息をひとつして顔を上げる。
(もう、学校に行く時間・・・!)
一旦行きかけたが、振り返り頭を下げる。
「ありがとうございました!」
背を向けて駆け出す。
草の隙間でキラキラと光が瞬いたのは走り去る私には見えなかった。

おわり


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